三角関数の応用公式集|加法定理から和積変換まで
三角関数の応用公式は、加法定理という1つの公式から次々と導かれる体系になっています。丸暗記するのではなく、加法定理から自分で導けるようになることが応用力につながります。ここでは加法定理から和積変換までの公式を、導出の流れとともに整理します。
加法定理(すべての基本)
- sin(α + β) = sin α cos β + cos α sin β
- sin(α - β) = sin α cos β - cos α sin β
- cos(α + β) = cos α cos β - sin α sin β
- cos(α - β) = cos α cos β + sin α sin β
- tan(α + β) = (tan α + tan β) / (1 - tan α tan β)
- tan(α - β) = (tan α - tan β) / (1 + tan α tan β)
他の応用公式はすべてこの6つの式から導出できます。
倍角公式(加法定理でα=βとする)
sin(α+β)のβにαを代入すると、sin 2α = 2 sin α cos α が得られます。同様にcosの加法定理から次の3通りの倍角公式が導かれます。
- sin 2α = 2 sin α cos α
- cos 2α = cos^2 α - sin^2 α = 2cos^2 α - 1 = 1 - 2sin^2 α
- tan 2α = 2 tan α / (1 - tan^2 α)
cos 2αが3通りの形を持つのは、sin^2 α + cos^2 α = 1(相互関係)を使って書き換えているためです。問題の形に応じて使い分けます。
半角公式(cosの倍角公式を変形)
cos 2α = 1 - 2sin^2 α を sin^2 α について解き、α を α/2 に置き換えると次の式が得られます。
- sin^2 (α/2) = (1 - cos α) / 2
- cos^2 (α/2) = (1 + cos α) / 2
- tan^2 (α/2) = (1 - cos α) / (1 + cos α)
例:cos 15度を求める場合、cos^2 15度 = (1 + cos 30度) / 2 = (2 + √3) / 4 となり、cos 15度 > 0 なので cos 15度 = (√6 + √2) / 4 と求まります。
積和公式(加法定理の足し算・引き算)
sin(α+β)とsin(α-β)を足すと、cos β sin α の項が消えずに2 sin α cos β が残ります。このように加法定理の式同士を足し引きすると、積を和(差)に変換する公式が得られます。
- sin α cos β = {sin(α+β) + sin(α-β)} / 2
- cos α sin β = {sin(α+β) - sin(α-β)} / 2
- cos α cos β = {cos(α+β) + cos(α-β)} / 2
- sin α sin β = -{cos(α+β) - cos(α-β)} / 2
積和公式は、積分の計算で三角関数の積を扱いにくいときに和の形へ変換する目的でよく使われます。
和積公式(積和公式の逆)
積和公式で α+β = A、α-β = B と置き換えて α と β について解く(α = (A+B)/2、β = (A-B)/2)と、和(差)を積に変換する和積公式が得られます。
- sin A + sin B = 2 sin((A+B)/2) cos((A-B)/2)
- sin A - sin B = 2 cos((A+B)/2) sin((A-B)/2)
- cos A + cos B = 2 cos((A+B)/2) cos((A-B)/2)
- cos A - cos B = -2 sin((A+B)/2) sin((A-B)/2)
和積公式は、sin A + sin B = 0 のような方程式を解くときや、三角関数の和を1つの積の形にまとめて増減を調べたいときに役立ちます。
三角関数の合成
a sin θ + b cos θ の形は、1つの sin にまとめることができます。
a sin θ + b cos θ = √(a^2 + b^2) sin(θ + φ)
ただし cos φ = a / √(a^2+b^2)、sin φ = b / √(a^2+b^2) となるφを使います。
例:sin θ + √3 cos θ の場合、a=1、b=√3なので √(a^2+b^2) = √(1+3) = 2。cos φ = 1/2、sin φ = √3/2 を満たすのは φ = π/3 なので、sin θ + √3 cos θ = 2 sin(θ + π/3) となります。
合成公式は、三角関数を含む式の最大値・最小値を求める問題で特に威力を発揮します。
覚え方の指針
公式の数が多く感じられますが、実際に暗記する必要があるのは加法定理の6つだけです。
- 倍角公式:加法定理で α = β とおく
- 半角公式:cosの倍角公式(1-2sin^2α型)を変形する
- 積和公式:加法定理の式同士を足す・引く
- 和積公式:積和公式のA、Bを置き換えて逆から見る
- 合成公式:a sin θ + b cos θ を1つの sin(θ+φ) にまとめる
この導出の流れを一度自分の手で確認しておくと、公式を忘れても入試本番でその場で作り直せます。
まとめ
三角関数の応用公式は、加法定理を出発点として倍角・半角・積和・和積・合成の順に体系的に導かれています。個別に丸暗記するよりも、どの公式からどの公式が導けるかという関係性を理解しておくことで、忘れにくく応用の利く知識になります。