複素数の公式集|演算・極形式・ド・モアブル
複素数は、実数だけでは解けない方程式(x^2 = -1など)を扱うために導入された数の体系です。虚数単位iを使い、a + bi(a、bは実数)の形で表されます。ここでは四則演算から極形式、ド・モアブルの定理までを整理します。
複素数の基本
虚数単位
i^2 = -1 を満たす数をiと定義します。iのべき乗は4つの値を周期的に繰り返します。
- i^1 = i
- i^2 = -1
- i^3 = -i
- i^4 = 1(以降4個周期で繰り返す)
共役複素数
z = a + bi に対して、z の共役複素数は z̄ = a - bi(虚部の符号を反転させたもの)
z + z̄ = 2a(実数)、z・z̄ = a^2 + b^2(実数)となり、共役複素数との積・和は必ず実数になります。
四則演算
z1 = a + bi、z2 = c + di とするとき
- 和:z1 + z2 = (a+c) + (b+d)i
- 差:z1 - z2 = (a-c) + (b-d)i
- 積:z1 × z2 = (ac - bd) + (ad + bc)i(分配法則で展開し、i^2 = -1 を使って整理する)
- 商:z1 / z2 = (z1 × z2の共役) / (z2 × z2の共役) のように、分母の共役を分子・分母にかけて分母を実数化してから計算する
絶対値
|z| = |a + bi| = √(a^2 + b^2)
複素数の絶対値は、複素数平面(ガウス平面)上で原点から点(a, b)までの距離を表します。|z|^2 = z・z̄ という関係も成り立ちます。
極形式
定義
複素数 z = a + bi は、絶対値 r = |z| と偏角 θ(実軸の正の方向からの回転角)を使って次のように表せます。
z = r(cos θ + i sin θ)
ここで a = r cos θ、b = r sin θ の関係があります。
極形式での積と商
2つの複素数 z1 = r1(cos θ1 + i sin θ1)、z2 = r2(cos θ2 + i sin θ2) について
- 積:z1 × z2 = r1r2 {cos(θ1+θ2) + i sin(θ1+θ2)}(絶対値は掛け算、偏角は足し算)
- 商:z1 / z2 = (r1/r2) {cos(θ1-θ2) + i sin(θ1-θ2)}(絶対値は割り算、偏角は引き算)
複素数の掛け算は、複素数平面上で「拡大・縮小」と「回転」を同時に行う操作として解釈できます。
ド・モアブルの定理
z = r(cos θ + i sin θ) のn乗(nは整数)は次の式で求められます。
z^n = r^n (cos nθ + i sin nθ)
これがド・モアブルの定理です。極形式での積の公式(偏角が足し算になる)をn回繰り返し適用すると導けます。この定理を使うと、複素数のべき乗の計算が角度の足し算だけで求まるため、直接展開するより大幅に計算が簡単になります。
活用例
z = cos 30度 + i sin 30度 のとき、z^6 を求める。
ド・モアブルの定理より z^6 = cos(30度×6) + i sin(30度×6) = cos 180度 + i sin 180度 = -1
n乗根への応用
ド・モアブルの定理を利用すると、複素数のn乗根(n個の解)も求められます。z^n = r(cos θ + i sin θ) の解は、偏角に (θ + 2kπ)/n(k = 0, 1, …, n-1)を代入した n 個の複素数として得られます。これらは複素数平面上で、原点を中心とする円周上に等間隔(正n角形の頂点の位置)に並びます。
まとめ
複素数の計算は、a+biの形のまま行う直交形式と、絶対値と偏角で表す極形式の2つの表現方法を使い分けることが重要です。特に掛け算・割り算・べき乗が絡む問題では、極形式に直してド・モアブルの定理を使うことで計算が大幅に簡略化されます。