百人一首21〜40番の覚え方―一字決まりと大山札の見分け方
百人一首21番から40番までの20首は、素性法師の「今来むと」から平兼盛の「しのぶれど」まで、恋の歌と四季の歌が入り混じる区間です。とくに終盤の36〜40番は「恋」の題を持つ歌が続き、次の41番(壬生忠見)へとつながる有名な歌合の伏線にもなっています。この記事では、この20首の中から代表的な歌を取り上げ、番号・決まり字・エピソードといった百人一首ならではの手がかりを使った覚え方を紹介します。
21〜40番の顔ぶれ
一字決まりの歌が1首ある
百人一首には、上の句の最初の1文字だけで下の句が特定できる「一字決まり」の歌が7首しかありません(「むすめふさほせ」と頭文字で覚えられています)。このうち21〜40番の範囲に含まれるのは22番、文屋康秀の「吹くからに秋の草木のしをるればむべ山風を嵐と云ふらむ」です。「ふ」で始まる歌はこの1首しかないため、「ふ」を聞いた瞬間に「山風を嵐と云ふらむ」まで一気に取れる、かるたでも狙い目の1枚です。
大山札の片割れも登場する
逆に、上の句の6文字目まで読まれないと下の句が決まらない「大山札」と呼ばれる歌もあります。31番、坂上是則の「朝ぼらけ有明の月と見るまでによしのの里に降れる白雪」は、その代表例です。同じ「あさぼらけ」で始まる64番・権中納言定頼の歌(61〜80番の範囲)とは、6文字目の「あ」「う」で初めて分かれるため、両方の歌を一緒に覚えておくと聞き分けやすくなります。
この20首の覚え方ステップ
ステップ1:似た出だしの歌を分けておく
21〜40番には、他の範囲と紛らわしい出だしの歌がいくつかあります。31番「朝ぼらけ」はその代表ですが、33番の紀友則「久方の光のどけき春の日にしづ心なく花の散るらむ」は「久方の」で始まる歌として単独で覚えやすい歌です。まず紛らわしい歌とそうでない歌を分けてから覚え始めると効率が上がります。
ステップ2:決まり字を意識して上下を結びつける
22番の「ふ」のような一字決まりは最優先で覚え、それ以外は2〜3文字を目安に区切って上の句と下の句を結びつけます。36番、清原深養父の「夏の夜はまだ宵ながら明けぬるを雲のいづこに月宿るらむ」は「夏の夜は」の4文字で他の歌と区別がつきます。
ステップ3:エピソードを添えて覚える
35番、紀貫之の「人はいさ心も知らずふるさとは花ぞ昔の香に匂ひける」は、久しぶりに訪れた宿で「あなたの心は変わったかもしれませんね」と皮肉交じりに言われた紀貫之が、そこに咲く梅の香りは昔のままだと切り返した歌とされています。歌の背景にあるやりとりを知っておくと、意味と一緒に記憶に残りやすくなります。
効率的に覚えるコツ
音読で語感を体に入れる
31番の「あさぼらけ」、36番の「なつのよは」のように、決まり字そのものが歌の情景を表す言葉になっている歌が多い区間です。声に出して読み、決まり字と情景をセットで耳から覚えましょう。
40番は次の範囲への橋渡し
この範囲の最後を飾る40番、平兼盛の「しのぶれど色に出でにけりわが恋はものや思ふと人の問ふまで」は、忍んでいたはずの恋心が顔色に出てしまったという歌です。実はこの歌には、41〜60番の範囲で紹介する壬生忠見の歌との有名な対決秘話があります。詳しくは「百人一首41〜60番の覚え方」の記事で解説していますので、あわせて読むと2つの範囲のつながりが見えてきます。
苦手な歌は決まり字表で可視化する
覚えにくい歌があれば、決まり字だけを紙に書き出して「何文字目で他の歌と分かれるか」を確認してみましょう。22番のように1文字で決まる歌もあれば、31番のように6文字必要な歌もあると分かれば、どこに力を入れるべきかが見えてきます。
まとめ
百人一首21〜40番には、一字決まりの22番、大山札の31番、有名な歌人の33番・35番・36番など、決まり字の特徴を手がかりに覚え方の工夫がしやすい歌が揃っています。紛らわしい歌から優先して覚え、最後の40番からは次の範囲へとつながる歌合のエピソードも楽しみながら学習を進めましょう。