エネルギー調べ学習|火力・水力・原子力の発電方法を比較する
コンセントから流れてくる電気は、いったいどこでどうやって作られているのでしょうか。エネルギー調べ学習は、火力・水力・原子力・再生可能エネルギーという発電方法の違いを調べ、それぞれの仕組みと特徴を比較する自由研究です。エネルギー問題は社会科でも重要なテーマであり、日本のこれからのエネルギー政策を考えるきっかけにもなります。この記事では、各発電方法の仕組みと、調べ方・まとめ方を具体的に解説します。
日本の電源構成の基礎知識
「電源構成」とは、発電された電気全体のうち、どの発電方法がどのくらいの割合を占めているかを示すものです。資源エネルギー庁などの発表によると、近年の日本では火力発電が全体の6割以上を占め、再生可能エネルギーが2割台、原子力が1割弱という構成になっています。再生可能エネルギーの内訳では太陽光の割合が最も大きく、次いで水力、バイオマス、風力、地熱と続きます。ただしこの割合は年度によって変動するため、調査するときは資源エネルギー庁や電力会社が発表している最新の数値を確認しましょう。
発電方法ごとの仕組み
火力発電
石炭・石油・天然ガスなどの燃料を燃やして高温・高圧の蒸気を作り、その蒸気の力でタービン(羽根車)を回して発電機を動かします。少ない設備で大きな電力を安定して作れる一方、燃料を燃やす際に二酸化炭素を排出することや、燃料のほとんどを輸入に頼っていることが課題とされています。
水力発電
ダムなどに貯めた水を高い場所から低い場所へ落とし、その勢いで水車を回して発電します。水が高い所から落ちる位置エネルギーを利用する仕組みで、ダム式のほかに、川の流れをそのまま利用する流れ込み式などの方式があります。燃料が不要でCO2をほとんど排出しない一方、ダムを作れる地形が限られるという特徴があります。
原子力発電
ウランなどの核燃料が核分裂するときに発生する熱で水を蒸気に変え、その蒸気でタービンを回して発電します。少ない燃料で大量の電力を発電でき、発電時にCO2を排出しない一方、事故が起きたときの影響の大きさや、使用済み燃料(放射性廃棄物)の処理方法が社会的な課題となっています。日本では2011年の東日本大震災以降、多くの原子力発電所が長期間停止し、安全対策を経て順次再稼働が進められています。
再生可能エネルギー
太陽光・風力・地熱・バイオマス・水力など、自然の力を利用し、繰り返し使える(枯渇しない)エネルギー源による発電をまとめて再生可能エネルギーと呼びます。
- 太陽光発電:太陽電池(ソーラーパネル)に光が当たると電気が発生する「光電効果」という現象を利用する
- 風力発電:風の力で大きな羽根(ブレード)を回し、その回転で発電機を動かす
- 地熱発電:地下深くのマグマの熱で作られる高温の蒸気や熱水を利用してタービンを回す
- バイオマス発電:木くずや農業廃棄物、生ごみなどの生物資源を燃やしたり発酵させたりして発電する
天候や時間帯によって発電量が変動しやすい、発電コストが高くなりやすいといった課題がある一方、燃料が不要でCO2排出量が少ないという利点があります。
用意するもの
- ノートまたは記録用紙
- 筆記用具
- カメラまたはタブレット
- 自宅の電気料金の検針票(電力使用量を確認するため)
- パソコンまたはタブレット(資料調べ用)
- 模造紙または画用紙、色ペン、のり、はさみ
調べ方の進め方
ステップ1:日本の電源構成を調べる
資源エネルギー庁のウェブサイトや、電力会社が発行しているパンフレットには、日本全体の電源構成が公表されています。最新の年度のデータを探し、火力・水力・原子力・再生可能エネルギーそれぞれの割合を確認しましょう。
ステップ2:発電方法ごとの仕組みを図解する
火力・水力・原子力・再生可能エネルギーのそれぞれについて、「何を使ってタービンを回すのか」を軸に仕組みを図にまとめます。共通点として「多くの発電方法は最終的にタービンを回して発電している」こと、相違点として「何のエネルギーでタービンを回すか」が発電方法ごとに違うことに注目すると、整理しやすくなります。
ステップ3:自宅の電力使用量を調べる
電気料金の検針票には、月ごとの使用電力量(kWh)が記載されています。数か月分を集めて、季節による使用量の変化をグラフにしてみましょう。夏や冬に使用量が増える理由(エアコンや暖房の使用)を考えると、電気の使われ方への理解が深まります。
ステップ4:メリット・デメリットを比較する
火力・水力・原子力・再生可能エネルギーについて、「発電にかかる費用」「CO2の排出量」「天候による発電量の変化」「安全性の課題」などの項目で比較表を作りましょう。それぞれの発電方法に一長一短があり、単純にどれが一番よいとは言えないことに気づくはずです。
ステップ5:省エネの工夫を調べて実践する
家庭でできる省エネの工夫(こまめな消灯、エアコンの設定温度、待機電力の削減など)を調べ、実際に1週間ほど実践して電力使用量に変化があるか記録してみましょう。
レポートのまとめ方
1. 研究の動機と目的
「電気はどうやって作られているのか気になった」など、調査を始めた理由を書きます。
2. 調査の方法
どのような資料やウェブサイトを使って調べたかを書きます。
3. 調査結果
日本の電源構成の円グラフ、発電方法ごとの仕組み図、メリット・デメリットの比較表を掲載します。自宅の電力使用量のグラフも加えると、社会全体の話と自分の生活を結びつけられます。
4. 考察
「再生可能エネルギーは環境にやさしいが、天候によって発電量が変わるため、まだ火力発電のように安定して電気を作ることは難しいとわかった」のように、調査結果から考えたことを書きます。
5. 感想とまとめ
これからのエネルギーについて自分なりの意見を書きましょう。「省エネを心がけたい」「再生可能エネルギーがもっと普及してほしい」など、率直な考えでかまいません。
発展的な研究のアイデア
電力会社や自治体のエネルギー館・科学館では、発電の仕組みを体験できる展示があることがあります。実際に見学すると、教科書や資料だけではわからない発電設備の大きさや音を実感できます。また、自分の住む地域にどんな発電所があるかを調べてみると、身近な視点からエネルギー問題を考えられます。
まとめ
エネルギー調べ学習は、火力・水力・原子力・再生可能エネルギーという発電方法の仕組みと特徴を比較することで、日本のエネルギー事情を具体的に理解できる自由研究です。電源構成のデータと自宅の電力使用量を組み合わせ、メリット・デメリットの比較表でまとめると、説得力のあるレポートに仕上がります。